【コラム】サガットとは何者なのか

コラム

 今回は、サガットに関する解説記事を作成致しました。性能というよりもキャラクター性に関する説明を中心に扱っていきます。

 歴代のキャラ解説記事シリーズの中では、かなり登場機会が多いキャラクターですが、作品毎にサガットの活躍をまとめて紹介出来たらと思います。

↑なおシリーズを追う関係上、理解をより深めたい場合はベガの記事なんかがおススメ

スト6のカプコン公式PVはこちら

①シリーズ順にサガットの姿を追います。作中の時系列は発売順でない事に注意して下さい。

シリーズ順

※ZEROシリーズとストⅢシリーズは同時開発の作品であり、発売順だけでいうなら
ZERO→ZERO2→ストⅢ→ストⅢ 2nd IMPACT→ZERO3→ストⅢ3rd になる。

作中時系列順

※スト2はマイナーチェンジ版が複数存在するが、ストーリーの変化自体はないため省略
※ZEROシリーズとⅲシリーズの間にEXシリーズが存在するが、開発会社の関係で扱いが複雑なため省略

②シリーズ順と作中時系列が異なる関係上、シリーズ内の表現に矛盾が存在する場合があります。

③使用したゲームは移植作品である関係上、移植元と表現等が異なる可能性は考えられます。

 サガットとはストリートファイターシリーズに登場するタイの格闘家で、ムエタイチャンピオン(作中表現ではムエタイの帝王)となっています。初代ストリートファイターから登場している非常に珍しいキャラクターであり、ケンに並んでリュウのライバルとして一定の存在感を放っているのが最大の特徴です。

 一時は世界的犯罪組織シャドルーの四天王として君臨してましたが、これもリュウと再戦するために参加したに過ぎず、サガット自身はあくまで正々堂々とした質実剛健な男となっています。

 また後々具体的に触れますが、リュウ以外に因縁の深いキャラクターとして、弟子のアドンと、父の敵討ちのためサガットを狙うダンの2名が挙げられます。

↑犯罪組織に所属したりもしたが、嫌いなものに姑息なヤツを挙げるほど基本は真面目

↑サガットの弟子のアドン。かつてはムエタイの帝王であったサガットを尊崇していた
 しかしサガットが無名の格闘家(リュウ)に負けた事で失望し、嫌うように
ムエタイが最強の格闘技である事を証明するため、闘いに明け暮れる

↑屈指のネタキャラとして認知されているダンだが、復讐のため格闘技を始めるという重い過去を持つ
 サガットはダンの父親との戦いを通じて右目を負傷し、眼帯を付ける事となった

↑なおダンの父親はゲーム内では殆ど登場せず、公式のキャラ図鑑で具体的な設定が開示される(左)
 右画像は唯一ゲーム内で登場したポケットファイターのものだが、ゲーム的にもほぼネタである
ダンの父親の公式キャラ図鑑については下記参照
 https://game.capcom.com/cfn/sfv/column-100862.html

ストリートファイター(初代ストリートファイター)

 ストリートファイターシリーズの原点となる作品。リュウやケンが操作キャラとして登場※し、激、ジョー、マイク、李(リー)など本作にしかいないキャラが多い一方で、烈(スト6のワールドツアーで登場)、ゲン、バーディー、イーグル、アドン、サガットなど後々の作品に登場するキャラクター達もいる。

 ※この時の正式名称は隆(リュウ)と拳(ケン)。隆は1P専用、拳は2P専用キャラになっており、見た目が異なる以外には全く同一性能のキャラになっていた。

↑弟子のアドンは初代からの付き合い
 設定上はまだサガットを尊崇していた頃

ストーリー面

 初代には明確なストーリーらしいストーリーが存在しないが、サガットは本作のラスボスであり、その前座を弟子のアドンが担当している。ア二コレによると本作は初代ストリートファイター(ここでいうストリートファイターは大会名の事)となっており、その決勝でリュウとサガットが対峙した。

 最終的にこの戦いはリュウの勝利=サガットの初敗北となり、リュウの昇竜拳によって胸に大きな傷跡が残ったほか、サガットはリュウへ憎悪を募らせる事となっている。

↑初代サガットにはまだ特徴的な胸の傷がない

↑初代のエンディングは特にストーリーらしいストーリーはない
 なおこれ以降サガットはリュウに憎悪を募らせるわけだが、
サガット敗北時の台詞は
「あなたは最強の座を手に入れた。あなたは今、世界で最も強いストリートファイターだ。」
と妙にリスペクトしてくれている

↑一方でサガットが勝利した時の画面がこちら
 「俺に勝つには、まだまだ学ぶことが多いな。出直してこい、坊や!」
敗北時のリスペクト具合から一転して煽りカス

↑スト5の初代アーケードモードED画像より。上がサガットのEDで下がリュウのED
サガットの挫折が強調れたものとなっている。

性能面

 本作の操作キャラはリュウとケンの2人のみなためCPU専用なのだが、せっかくなので筆者の所感と合わせて簡単に紹介しておくと、古の格ゲーのボスキャラらしく理不尽の一言。

 サガットの必殺技は弾技のタイガーショットと飛び膝蹴りの2つしかなく、タイガーショットに至ってはしゃがみ状態だと一切当たらないという一見かなり弱そうな性能なのですが、理不尽なのです。

 まず前提として本作の仕様を解説しておくと、本作は必殺技が隠し要素だった事もあり、自キャラにしても敵キャラにしても必殺技が弾抜け完備かつ超高火力で、特に火力面に関しては、基本的に必殺技を2回か3回当てただけで相手を倒せるレベルになっています。

 自キャラも超性能な必殺技を使えるなら、そんなに理不尽な事はあるのかと思われるかもしれませんが、サガット戦が理不尽に感じる理由としては、①必殺技の入力精度が極端にシビアでまず必殺技が安定して出ない②自キャラの必殺技は基本的に波動拳以外そこまで前に伸びないのに対し、サガットは遠距離から接近出来る飛び膝蹴りを使える の2つが挙げられます。

 つまり飛び膝蹴りがとにかく理不尽な主要因なわけですが、曲者なのがしゃがみ状態だとガード出来ない事が挙げられます。前述した通りタイガーショットはしゃがんでいると当たらないのですが、そうやってしゃがんでいると飛び膝蹴りが飛んでくるわけです。更にそこに波動拳を出そうと必死にスティックを倒しているとしゃがみ状態になっている事が多く、この相乗効果で只管膝で蹴られて死ぬリュウを見る事になります。

↑必死に波動拳を出そうとしても、必殺技が出ずにタイガーショットを喰らって体力が吹き飛び、
 やっとの思いで出た波動拳も飛び膝蹴りの弾抜けと嚙み合って死ぬがよく起こる
なお弾が当たった瞬間ゲームの挙動が重くなるがこれは仕様

 ↑そもそも膝蹴りの判定が強く、膝出されてるだけで何も出来ずに死んだも割とよく起こる

 

スーパーストリートファイターII

ストーリー面

ベガが初登場した作品で、サガットもシャドルー四天王に在籍。ストⅡには複数作品が存在するが各作品で少しずつ弄られている。Ⅱ:CPU専用→Ⅱ´(ダッシュ):プレイアブル化

 ベガの解説記事で大会の具体的な様相を扱ったので、大会の内容そのものを詳しく知りたい人はそちらを参照して欲しいが、比較的初期作品故にストーリー性は薄く、大会の開催目的がそもそもキャラクター毎に異なるなど今一方向性が安定していない。(例としてベガEDは最強の兵士を集めるために開いたとされるが、ザンギエフEDだとただの国際的な交流試合として大会が開かれていた事にされる)

 そしてサガットEDの場合は、単純に世界最強を決めるために大会が開かれたというものになっており、優勝して世界最強になったものの、リュウとの戦いの方が重要だったサガットにとっては世界最強の座も虚しいという、リュウのライバルキャラとしての面が前面に押し出されたものとなっている。

↑「リュウよ、もっと強くなれ。そしてふたたび私の前にこい。」
スト2時点でリュウのライバルキャラとしての立場が明確に打ち出されている

↑スパ2などではこちらのED。
格闘技大会の結果は気にも留めず、リュウとの再戦に備えて修行に励むサガットの姿が描かれる
悪の組織の四天王らしからぬストイックな姿が描かれている

↑勝利台詞も基本的に強さに関する言及が多く、戦闘狂的な一面が目立つ

↑スパ2の台詞も勝利に貪欲な姿勢が強調されている

↑スト5のアーケードモードにても、リュウのライバルである事が意識されている
なおシャドルーを去っているのは、後に触れるZero2のEDを補完したもの

↑なおサガットを代表する大仏ステージが登場したのはスト2から
この大仏は後々Zero3で大暴れしたりする 

性能面

 ストⅡ´(ダッシュ)以降プレイアブル化されたが、初代からの大きな変更点は、タイガーショットの上下の打ち分けが可能になった事が挙げられる。(初代は上段のみ)

 下段の弾は隙が上段の弾より大きい代わりに、しゃがんでいる相手に当たり、上段の弾はしゃがまれると一切当たらない代わりに、相手の前歩きやジャンプを咎める事が可能になっているため、大砲キャラらしく、どっしり構えて相手を待つスタイルが可能になっている。

 なおタイガーショットは、上段がパンチボタン、下段はキックボタンで出す技になっており、更に弱中強で弾速が変わる仕様なため、6種類もの弾を使い分けられるのがサガット最大の特徴ともいえる。(※ただしスト6のサガットはキックボタンで弾が出る仕様がオミットされ、パンチボタンの弱中強で上下を撃ち分けるよう仕様変更されている。)

↑タイガーショットを上下を打ち分ける事で相手を揺さぶっていく

 またタイガーアッパーカット(所謂昇竜拳)も本シリーズで初めて実装されており、タイガーショットで揺さぶりつつ、相手が近づいてきたらこの技で落とすというサガットの基本的な戦闘スタイルは既にこの時点で完成している。

↑基本的なサガットの技は既にこの時点で出揃っている

↑なお初代で暴れ散らかした膝蹴りの弾抜け判定は無くなっており
 モーション的に弾を乗り越える事が一応可能程度に収まっている

ストリートファイターZERO

ストーリー面※性能面はZERO3にて纏めて紹介

  初代のその後の物語であり、スト2の前日談にあたるのがこのZEROシリーズ。前作スト2に比べてストーリー面が厚くなった一方で、Zeroシリーズ内でも設定に齟齬があったりしてパラレル設定になる事も多い(特にZero3)。そんなZeroシリーズの初作。

 初代直後という事もあり、サガットはリュウに強い恨みを持っている時期であり、全体的に言動が荒い。また最終的には再びリュウと対峙する事になるが、復讐に燃えるサガットに対しリュウは諭したうえで本気で戦ってくれず、サガットはリュウとの勝負には一応勝つものの、煮え切らない思いを抱える事に。このため再びリュウとの再戦を願うのだが、そこにベガが勧誘に訪れ、力を付けた上でリュウと再び戦うためにシャドルーに参加する事になる。

 なお弟子のアドンと、本作隠しキャラであるダンのラスボスをサガットが務めており、それぞれサガットへの恨みを晴らしたところにベガが勧誘にやってくるエンディングとなっている。

↑スト2に負けず劣らず本作のサガットも言動が荒い

↑エンディングはなぜサガットがシャドルー四天王になったのかを明かすもの
この頃はまだ戦いに対する悟りの境地に到達していない

↑リュウ視点だとサガットとの戦いは最早どうでもよくなっており、
 より冷たく見えるような印象を受ける

↑なおリュウ編冒頭でサガットはオレンジ道着の人物を投げ捨てている
 一見これはダンなのか?と思うかもしれないが、道着の色や、下駄が書かれていたり微妙に異なる
画像はスト2サガットのコンセプトアートであるが、この画像のオレンジ道着の男性の可能性が高い
巷では男性の手に血がついていたりする事から、これがダンの父親なのではないかと考察されている
Zeroでダンの父親は既に死亡しているはずだが、ファンサービス的なものなのだろうか

↑サガットのコンセプトアートはカプコンタウンのミュージアムで確認可能

↑ゲーム上で弟子のアドンと本作から本格的に絡む事になるが、
 既にサガットを見限っているのでムエタイの頂点を自称されている

↑アドンは最強の座をサガット相手に証明した所を、ベガが勧誘にやってくる
 以下に紹介するダンのEDにも言えるのだが、サガットがラスボスであるにも関わらず、
 EDではベガが出張って来てサガット自体は登場しない

↑ダンは父の敵であるサガットと対峙する事に

↑余談だが、Zeroのダンは完全にコミカルというわけでもなく、意外と真面目な面も多い

↑スト5アーケードにおけるZeroサガットは勧誘エンドのものが採用されている
ただし画像の背景はZero2のもの

ストリートファイターZERO2

ストーリー面

 Zero2サガットはZeroの頃からストーリーが続いており、Zeroでのリュウとの戦いを振り返った結果、格闘家としてあるべき姿を悟り、Zeroでシャドルー加入したにも関わらず、シャドルーから離れて修行に励むエンドになっている。※Zeroシリーズはスト2より前のストーリーなので、一応シャドルーから完全に脱退したわけではないのだろうか。ただ前述したスト5のスト2エンディングだと、Zero2の画像を使ってまるでシャドルーから脱退したように書かれているので、若干描写としては安定していない。

 またリュウ本人に関しては豪鬼がライバルとして本格的に出てきた事でサガットは関係せず、アドンはラスボスはサガットであるものの、EDではムエタイを最強にすべく豪鬼に固執するようになってしまうので、ダンがある意味一番サガットのライバルキャラをやっている作品になっています。

↑勝利台詞はこれまでと大きくは変わらず
 強者である事に拘ったり、リュウを探したりしている

↑Zeroでの戦いを回想するエンディング
真の格闘家として再動していく事になる

↑アドンは完全にサガットを倒してしまい、
豪鬼を追い求める者になってしまう

↑ダンの基本的なストーリーはZeroの頃と変わらず仇討ちエンド
終わり方がコミカル寄りなのもZeroと一緒

ストリートファイターZERO3

ストーリー面

 Zeroシリーズ大詰めのZero3。その最大の特徴は各キャラクターにライバル枠的なキャラ(アーケード中盤と終盤で会話シーンが用意されているキャラ)がいる一方で、ラスボス自体は一部除いてほぼ全員がベガであるという所です。そのためサガットに関してもラスボスはベガとなっております。

 Zero3サガットは、Zero2までの流れを踏まえて真の格闘家として目覚めた状態にあり、仇討ちに燃えるダンを哀れんだり、最終決戦では洗脳されたリュウと対峙する事になります。サガットは洗脳されたリュウを倒した後、リュウとの勝負を邪魔された事に怒り、ベガと対峙して倒します。そしてサガットに倒されたベガは、リュウを再び洗脳する事で、リュウを代替ボディに復活する事を目論見ますが、サガットがリュウを𠮟咤激励する事で目覚めさせるという激アツ展開になっています。

 最終的にサガットは、ベガに完全に洗脳されかけたリュウを未熟と評し、リュウもそれに同意、お互いが再び真の強さを体得したのち再戦を誓うというライバルらしい終わり方になっています。

 なおリュウ(間接的に登場)・ダン・DJ(zero3upperで登場)編でもサガットはそれぞれ登場しているのですが、リュウ編以外は若干ネタ感もあるようなストーリー運びになっています。※なおアドンはZero2で述べたように豪鬼に執着するようになっており、いよいよストーリー上にサガットが全く登場しない事態にまで陥っている。

↑従来通りの帝王的な台詞から𠮟咤激励するものまでバリエーションが増えた
 なお本作にはロレントなど武器を使うキャラがいるのだが、武器は邪道な模様

↑サガット編の開幕ストーリー~ダン戦まで
 格闘家としてあるべき姿を悟った状態にある事が示されている
 またダンにかつての自分の姿(復讐心)を重ねており、ダンが結構美味しい役柄になっている

↑サガット編の洗脳リュウ戦・ベガ戦・EDまで
 リュウとサガットがお互いを真のライバルとして認めるという、
 今までのZeroシリーズにおけるサガット編の総決算のようなストーリーになっている

↑かつてベガのキャラ紹介でも扱ったリュウ編のエンディング映像
 ベガの手で殺意の波動に目覚めかけるのだが、仲間やライバルの姿を思い出して踏みとどまる事に
 その際に一番最初に思い出すのがサガットになっている

↑ダン編はZero2までにサガットが一度ダンに敗北したルートが正式扱いになっている
 このためサガットの姿がどこか情けない

↑DJ編はアドン→サガット→ベガという流れになっており会話内容自体は割と軽め
この時のDJは世界最強の格闘家を目指しており、ベガを倒すことでついに世界最強の格闘家になる
そしてEDでは音楽界へと誘われて、今度は音楽界の頂点を取ろうと意気込むという流れになっている
一見するとDJとアドンやサガットとの組み合わせはかなり奇妙に感じるかもしれないが、
これはおそらく初代ストリートファイターをオマージュした結果なのではないかと考えられる

性能面

 使用出来る技自体は基本的には従来通り。2から増えた技としてはタイガーブロウが挙げられる。この技は従来のタイガーアッパーカットと同じ昇竜系の技になっているのだが、少々ややこしいのが、時系列的にはZeroシリーズが先で2はその後の話なため、タイガーブロウの進化系がタイガーアッパーカットになっている。

 このためタイガーブロウはリュウへの復讐に囚われていた頃の技であり、実際Zero2のエンディングでは、そういった復讐心を克服してタイガーブロウを超える技を編み出そうとしており、それがタイガーアッパーカットとなっているのである。

 このほかには、ゲージを使う必殺技としてタイガージェノサイド以外に2つ増えたほか、アングリーチャージという技を一回だけ強化する自己強化技なども増えている。

↑左がタイガーブロウで右がタイガーアッパーカット(どちらも中)
 「全部同じじゃないですか!?」となりそうだが、
アッパーカットの方がヒット数が少なく(2hit)カス当たりしにくい
※タイガーブロウは最大7hitなので逆にhit数次第でダメージがぶれる

↑ゲージを使う超必殺技(スーパーコンボ)は全部で3つ

↑Zero3以降常態化するアングリーチャージという技は、一部必殺技を一回だけ強化するというもの
 動画では強タイガーブロウのダメージが25→31に上昇している

ストⅢ

 秘密結社を率いるギルがメインとなる作品。リュウ・ケン・豪鬼といった主要格を除いて一気にキャラが刷新されたシリーズなので、サガットは未登場になっている。

スーパーストリートファイターIV(ウル4)

ストーリー面

 ベガの時と同様に残念ながらウル4ではスト4アーケードのムービーを閲覧できないため、撮影する事は出来なかったが、スト4の頃は己を熱くするものを求めて弟子のアドンのもとを訪れ、新技タイガーディストラクションを披露しながらこれを倒し、更にスト4のラスボスであるセスとの戦いを通じて、セスの拳には魂を感じられなかった事から、闘いの勝敗そのものは些細な事で、拳を通じて語り合う事を求めていた事を自覚して悟るといった内容になっている。

 ウル4では引き続き闘いの意味を探しているが、最終的には友(リュウ)と合う事に楽しみを見出しており、歴代シリーズの中でもかつてないほど穏やかな表情をしたサガットを拝む事が出来る。

 本作ではサガットのライバルはリュウが設定されており、リュウ戦時には特殊演出が入るようになっているのだが、互いにこの闘いを純粋に楽しんでおり、こういった事からも純粋なサガットの姿を見られるようになっている。

 なおリュウは死んだと思っていた剛拳が復帰したり、ダンはコミカル路線を進んだ結果、両人のストーリーには直接的にはサガットは登場しないのだが、代わりにアドンがサガットに引導を渡すべく動くというストーリーになってサガットへの関心を取り戻しており、アドンのライバルもサガットに設定されていて、闘いへの心構えが対照的な2人の姿が見られるようになっている。

↑前作以上に相手を激励する台詞が大幅に増えた
 また己の拳で語る事を重要視している事が見て取れる

↑己の戦いの来歴を振り返り、結果村の子供と交流する穏やかなサガットの姿が見られる

↑リュウ戦には特殊演出が入り、戦闘中にもボイスが流れるが、両者ともに闘いを楽しんでいる

↑スト5のスト4アーケードも穏やかなサガットの姿が描かれている

↑アドンは久々にサガットへ関心を向けるように
またエンディングがサガットのものと繋がっており、
サガットのようにはならない事を改めて決意している

↑ライバル演出を見てもアドンとサガットは大分対照的

性能面

 前述したスト4エンディングでお披露目したタイガーディストラクションが追加された他、従来のスーパーコンボ技であるタイガーキャノンがウルトラコンボ(超必殺技)に移行した以外は使える技自体は従来のサガットと同様になっている。

↑タイガーディストラクション(左)とタイガーキャノン(右)
タイガーディストラクションはパワーアップ版タイガージェノサイドみたいな技

ストリートファイターⅤ

ストーリー面

 スト5はシャドルーやベガと決着を付ける物語であり、シャドルーという組織そのものが散り散りになるのですが、サガット自体はDLC参戦キャラクターという事で、このメインストーリーそのものには関わりません。※あくまでDLC内で完結しているため、他キャラクターのストーリーに出てきたりという事もない。

 そんなサガットのストーリーとしては、日々修行をして過ごしているうちに殺意の波動に目覚めかけるも、拒絶して自制し、克服する事が示唆されているようなストーリーになっています。

 サガットは元々前作まで、リュウがどのような視点を持っているのか気になっていたようなので、自らが殺意の波動を理解する事で、リュウに対する理解を深めた事が重要なポイントになっています。

↑サガットのキャラクターストーリーは上記のもの
殺意の波動に目覚めかけた際には、普段白眼のサガットにドーナツ型の黒目が見える程に
最終的には強さを理解して克服するような様子が示唆されている

↑希望につながるようなキャラクターストーリーから一転して、
 アーケードでは何故かダークヒーロー的なエンディングに
スト6のサガットはどういった方向性になっているのだろうか

性能面

 ゲージを貯めた上で、一定時間一定回数まで使えるVスキルが追加された関係で、タイガーショットの強化版であるタイガーキャノンや、アッパー技を強化していたアングリーチャージに対して足技を強化するハヌマンチャージ、相手を蹴り飛ばして追撃出来るタイガースパイク/タイガーラッシュなどが追加されている。

 またクリティカルアーツ(超必)としてタイガーランペイジという技が追加されており、この技は決めた際に虎の鳴き声が聞こえるという、虎要素が強化されたものになっている。

↑しゃがんでいる相手に当たったり、当たった際に色々追撃が出来るタイガーキャノン

↑タイガーーニークラッシュを一度だけ強化するハヌマーンチャージ
※ガード後の隙を減らし、追撃出来たりする

↑追撃出来るキック技であるタイガースパイク/タイガーラッシュ
スト6で言うとマリーザの足技にイメージが近い

↑どこからともなく虎の声が聞こえるタイガーランペイジ

 以上が歴代サガットの姿を纏めたものとなっています。

 スト2のイメージが強いと、ついついシャドルー幹部のイメージで見てしまいがちですが、実際は割と早い段階でシャドルーとは疎遠になっており、リュウと同様に純粋に闘いのあり方を探る求道者として長らく振舞っていた事がよくわかりました。

 また殺意の波動を自力克服したりなど、(リュウという目標がいるとはいえ)サガットが自力で様々な壁を乗り越えている面もあり、そういった精神的な力強さがサガットというキャラクターの魅力になっているのかもしれません。

 リュウの同門で友でもありライバルでもあるケン、殺意の波動の扱いで意見が割れてライバルでもある豪鬼、そして挫折から立ち直っていく過程においてライバルでありながらリュウの理解者にもなったサガットと、スト6にリュウのライバル達が勢揃いする事になるのですが、スト6ではサガットがどういうキャラクターになるのか非常に楽しみな所であります。

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