ゲーム概要
ゲーム名 | FINAL FANTASY TACTICS – The Ivalice Chronicles (ファイナルファンタジータクティクス – イヴァリース クロニクルズ) |
ジャンル | 戦略RPG、JRPG、ターン性戦略 |
プレイ人数 | 1人 |
プレイ時間 | 難易度や寄り道(育成)をどの程度やるかによる 筆者の場合、固有キャラから汎用キャラまでガッツリ育成した結果、 最高難易度(タクティクス)で70時間程度 他のプレイヤーを見る限りは45~60時間程度でクリアが目立つ |
販売形態 | PlayStation 、Xbox Series 、Nintendo Switch Nintendo Switch 2、Steam ※Goggle play store などで売っている FINAL FANTASY TACTICS 獅子戦争は過去に移植された作品であり、 本作とはまた別なので注意 |
価格 | 5800円 |
参考URL | 公式 https://www.jp.square-enix.com/fft_tic/ Steam https://store.steampowered.com/app/1004640/_/?l=japanese |
一口メモ | PS版をもとにフルボイス化&一部台詞調整等がされたリマスター版 |
公式PV
はじめに
今回紹介するのは28年前、1997年にPS1にて発売されたFFT(ファイナルファンタジータクティクス)のリマスター作品であるファイナルファンタジータクティクス – イヴァリース クロニクルズになります。
基本的なゲーム性は元のPS版と同様のものになっており、細かい調整やストーリーの改修なども一部入っているものの、大筋はシステム改修を入れて遊びやすくなったFFTといった感じのゲームになっています。そのため今時のゲームと比較して見た場合には少々古臭く感じる所もあるかもしれませんが、一方で倍速機能であったり、フルボイス化など、現代向けのアレンジも入っており、シミュレーションRPGとしては十分遊びやすいものになっています。
なお古いゲームですので、新規向けに核心的なものは避けつつも、紹介するにあたってある程度のネタバレはご容赦ください。
良い所・オススメな点
①フルボイス化
やはり本作を遊ぶ理由付けとして一番大きいのはこのフルボイス化でしょう。声優熱演のもと、本編ストーリーがフルボイスになっており、感情溢れるやり取りを見る事が可能になっています。FFTは謀略渦巻く獅子戦争が舞台な事もあり、全体的にキャラの感情が揺り動くようなシーンが多いため、フルボイス化される事でそういった面がより強調される結果となっています。
個人的に嬉しいポイントとしては、フルボイス化により、固有キャラが喋るシーンが増えている点が挙げられます。固有キャラの中には後半加入&加入にサブクエストクリアが必須な結果、従来のFFTだとほぼ無口キャラと化していたようなキャラクターもいたのですが、ボイスが追加された事で、戦闘中を中心に喋る機会が増え、愛着が持ちやすいようになっているからです。
汎用キャラ(所謂モブ兵士)もフルボイス化された結果、汎用キャラの詠唱ボイスが無くなってしまうなどの弊害もあるのですが、代わりに固有キャラの詠唱ボイスが細かく用意されてたりもするので、ここらへんは一長一短と言えそうです。
ともかくフルボイス化により劇中シーンに感情移入がしやすくなったり、仲間キャラに愛着が持ちやすいようになっています。
↑フルボイス化された事で没入感が増した
アルガスのあの名?台詞もこの通り
↑詠唱ボイスは固有技は勿論、各種汎用技にもしっかり喋ってくれる
踊り系など原作の時点で詠唱ボイスがない技は流石に詠唱してくれないのでその点は注意
※なお詠唱ボイスはたまに発生するレア演出であって、毎回唱えるわけではない
↑固有キャラには一通り詠唱ボイスがしっかり用意されている
原作だと殆ど喋らない(喋る機会がない)レーゼ辺りは特に新鮮
↑詠唱ボイスが無くなってしまった汎用キャラだが、それでもなおフルボイスになっている
上記動画は汎用キャラでありながら固有設定をもつ5姉妹&シンデレラを撮った動画
FFTの汎用キャラは結構細かくネタが散りばめられているのだが、ちゃんと全部喋ってくれる
↑わざわざ作中に登場するそっくりさんにも本家の声優さんが出てきたり
フルボイス化された故の楽しみ方もある
↑敵ボスによる詠唱シーン
筆者が遊んだ時には動画のようにかなり真面目?な詠唱シーンしか撮れなかったが、例えばトード系の魔法をボスが使う場合、当然確率でトード系の詠唱をしてくれたりなど、絵面がかなりシュールになる時もある
②フルボイス化に合わせてストーリー内容の一部変更&追加
①の補足的な所もありますが、フルボイス化に合わせて原作(PS版)から一部台詞が変更されたり、場合によっては会話シーンの追加がされています。
一番大きいのはやはり会話シーンの追加で、主に戦闘に出撃したキャラに応じて会話シーンが追加される形となっており、特にオルランドゥ伯(雷神シド)はこの恩恵を大きく受けているキャラクターの1人になっています。勿論雷神シド以外にも、例えば本来はFFTの隠しキャラであるクラウドなどにも触れられるシーンが追加されていたり、固有キャラ全般に恩恵がある形の追加となっています。
また台詞の変更(加筆)に関しては、発声上違和感の少ない形になるように改変されている場合が多いですが、ストーリーの大筋は変わらない一方で、キャラクター描写が盛られるよう台詞追加がされているシーンも多いです。
特にAはBというキャラについてどのように見ていたのか、といったキャラクター同士の関係性を深堀りするような追加シーンが多いので、従来シリーズのファンでも新鮮な気持ちで楽しめる面もあるのではないかと思います。
原作だと仲間になってしまうともうシナリオ上では殆ど喋らず、影が薄くなってしまうキャラもそれなりにいるので、こういったシーン追加により色々と補われているのは嬉しいポイントになっています。
↑エルムドア戦でシドを出撃させていると聞ける会話追加シーン
エルムドアは原作だと突然戦死してフェードアウトしたかと思ったら敵として出てくるため、いまいちその背景がよくわからなかったキャラなのですが、このようにシーンが追加された事で、なぜ敵側に与したのかといった事がわかるようになっています。
またシドは主人公であるラムザは勿論、各種勢力の大物達と面識があるキャラになっているため、特にこの手の追加シーンが多いタイプのキャラクターになっています。
③一部アビリティに調整が入った
基本的には原作だと不遇寄りだったアビリティにアッパー調整が入る形になっているものが多いです。一番わかりやすいのが召喚魔法で、例えばバハムートが原作だと7だったチャージスピードが15になっています。※チャージスピードは数字が高ければ高いほど早い
FFTの一部アビリティには詠唱時間が必要になっており、ざっくり言うとチャージスピードが100になったタイミングで魔法が発動するという仕組みになっています。
つまり原作バハムートだと100÷7=14.28 で発動までに約15ターンかかるのに対し、100÷15=6.66 と約7ターンで発動出来るようになったわけです。
これに魔法詠唱短縮(原作だとショートチャージ)を付けた場合、詠唱時間が更に半減されるため、原作だと弱アビリティだった召喚魔法がかなり使い易くなっています。
この他にも弓使いのチャージスピードが改善されたり、基本的にはアッパー調整が主体となっています。
原作だと最強移動手段であったテレポートの習得に必要なアビリティポイントが600→3000に変更されたりといった一部ナーフ調整もありますが、性能自体はほぼ据え置きなので、原作の無法ぷりを考えるとさもありなんといった感じです。※そもそも原作だとテレポートが簡単に習得できるせいで、他の移動系アビリティの立つ瀬がない問題があったりした。

↑召喚魔法は特に調整の影響が大きく、発動タイミングが速くなった
画像は魔法詠唱短縮&ヘイストが付与されている時のものだが、
わずか3ターンで発動出来るようになっており、敵が動く前に発動出来ている
④難易度タクティカルの追加
最高難易度として難易度タクティカルが追加されました。FFTは基本的に育成が楽しいゲームとなっており、育成にハマっているうちに敵に比べて過剰戦力になるパターンが多かったので、ガッツリ寄り道をしたいプレイヤー向けの追加要素になっています。
ただタクティカル自体は基本ダメージ倍率を弄っているだけ※なので、中盤までは比較的緊張感ある戦いが出来るのですが、終盤はプレイヤー側のインフレが凄く、またFFT終盤は特定の敵だけを倒せばクリアになるマップが多い関係上かなりゴリ押しが効くので、育成そのものを縛っていない限りは従来通り苦戦する事なく戦えます。
※具体的には被ダメ1.2倍、与ダメ0.7倍 また一部敵キャラはスピード値も盛られている模様。このため多くても100数ダメージのやり取りをしている中盤辺りまでは難しくなるのだが、200~300ダメージが当たり前に出るようになるとあまり難易度の影響を感じなくなる。
⑤登録上限が50人に拡張
原作が16人、獅子戦争版が24人、そこから更に大幅拡張され50人となりました。本作には固有キャラだけで11人ほどおり、そこに汎用キャラを加えるともう枠がギチギチで、モンスターを採用してもせいぜい養殖※用に1~2種類が限度だったので、これはかなり嬉しい変更要素になっています。※味方モンスターは時間経過に応じて勝手に増える仕様となっており、これをわざと自分の手で倒す(要密漁スキル)と特定のレア装備と交換出来る事から養殖と呼ばれた。
⑥倍速機能実装やタイムライン追加やなど細かい変更あり
今までは比較的大きな調整についてばかり触れてきましたが、細かい変更も色々あります。倍速機能はその名の通り、特定ボタンを押している間倍速になる機能です。ストーリー上での会話シーンから戦闘中まで様々な場面で倍速出来るので、特に育成中などテンポよく遊ぶ事が出来ます。
タイムラインの追加は、既に④で画像付きで紹介したように、戦闘画面左側に順番を表示するシステムであり、行動順を視覚的に管理しやすくなっています。
戦闘画面関連で言うと、上から見下ろすタクティカルビューといったものも追加されています。真上から見下ろしてくれるので、壁(崖)に囲まれた所にいる敵などそのままだとわかりにくい敵を選びやすい他、攻撃範囲の確認なども行い易くなっています。
またFFTには既にクリア済みのマップを移動する場合、ランダムエンカウントするようになっているのですが、原作だと強制戦闘だったのに対し撤退が出来るようになっています。FFTは赤チョコボ軍団などランダムエンカウントにもいくつか象徴的な戦闘が存在したりするので、これを任意で拒否出来るというのは人によっては味気ないかもしれませんが、ワールドマップ上の移動が格段に楽になっているので、良改編となっています。
撤退関係でいうと、連戦時も1戦目からやり直しになる代わりに撤退出来るよう仕様変更も入っています。原作だと連戦時に撤退出来ないため、セーブデータをマメに残していないと詰みセーブになりかねないのですが、本作なら育成が足りないと分かった場合に撤退出来るので、ついついセーブを忘れてしまっても大丈夫なようになっています。
そもそもオートセーブ機能などもちゃんと実装されているので、ある程度は柔軟に対応が可能になっています。

↑コンバットタイムラインのおかげで戦闘が管理しやすくなったり

↑タクティカルビューのおかげで敵の位置などがわかりにくい時に確認しやすくなった
また一部アビリティに影響する床の情報なども教えてくれる

↑ランダムエンカウントでは撤退の選択肢が取れるように
この後一度戦うを選んでエンカウント内容を確認したうえで撤退なども出来る

↑連続戦闘も最初からやり直しになる代わりに途中で撤退出来るようになった

↑地味に原作だと盗めなかった源氏シリーズが盗めるようになってたりも
⑦ブレイブストーリー(ギャラリー)が一部拡張
世界観説明を担うブレイブストーリーが一部拡張されました。個人的に嬉しいのは【情勢】という項目の追加で、今現在どのような状況なのかを簡単に振り返れる機能になっているので、あらすじとしてかなりわかりやすいものになっています。
このほかにもヘルプ機能も拡充されており、色々と細かい仕様に触れたりしてくれている点も良い改善点となっています。

↑従来の世界観解説だけでなく、情勢やヘルプ機能など色々増えている

↑情勢の追加で簡単に今までの事績を振り返る事が出来るようになった
情勢上で人物リストを開くと、その時点でのキャラ図鑑も開いてくれる
気になる点・注意点
①獅子戦争版要素は8割なし
公式からも散々言われている要素ですが、本作の1つ前の移植作品である獅子戦争版の追加要素はありません。一応獅子戦争版の追加要素自体バランスブレイカーなものが多かったりして賛否両論的な部分があったのはありますが、暗黒騎士であったりバルフレアだったりそういったものはありません。
一応獅子戦争版で追加されたムービーはブレイブストーリーから見れる形になっているので、完全に獅子戦争版の要素がオミットされたわけではありませんが、このムービーもあくまで本編では流れずわざわざブレイブストーリーで確認する必要がある事を考えると、ほぼほぼオマケ要素と言えます。※なおわざわざ言及する必要はないかもしれないが、不思議なデータディスク的なオマケ要素も当然ながら無し
②ヘルプ等は追加されたが、それはそれとして隠し要素も多い
本作には原作とはまた別のヘルプ機能が追加されており、ゲームの基本的な所から、チョコボ搭乗時の仕様などかなり細かい所まで説明してくれているのですが、それはそれとしてヘルプで説明しきれていない要素がまだまだあります。
例えばランダムエンカウントは、マップの侵入方向に応じて初期配置が代わり、更にスペシャルバトルと呼ばれる特殊なランダムエンカウントに遭遇するには特定方向から侵入しないといけない仕様だったり、ジョブ毎の成長率の違いにはヘルプで触れられているものの具体的な数値上の違いについては言及が避けられていたりなど、ネットで確認しないとわからない部分もあります。
特に育成面は仕様を知っているかどうかで育成方針が全然変わったりするので、この辺は育成がプレイの中心になりやすいFFTでは重要ですし、もう少し詳しくゲーム内で書いてくれても良かったなと思ったりはします。

↑ヘルプ画面の一例
かなり細かい所まで教えてくれてヘルプ自体は有用なのだが、まだ足りない

↑スペシャルバトルは文字通りスペシャルなバトルで最終章にならないとそもそも挑めない
条件を満たしたうえで低確率で発生するのだが、ヘルプ等では特に案内はない

↑成長率の存在そのものは教えてくれるのだが、あくまで傾向性に触れているだけで物足りない

↑育成知識は知っているかどうかで大分差が付く要素になっている
例として画像は特に何もせずに職を転々とした侍ラムザと、
わざわざレベル1までダウンしてから再度忍者で育てなおした侍アグリアス
各種ステータスにかなり差をつけている事がわかる
おわりに
以上がFFTの紹介記事になります。あくまでPS版FFTのリマスターであり、フルボイス向けの加筆修正以外は大きな変更点はない作品ですが、あくまでオリジナルを尊重しつつも現代向けに遊びやすくなった作品になっていると思います。
追加要素がないのは少々寂しい所ですが、オウガリボーンなど戦闘システムまで大きく弄った結果賛否両論になった例もあるので、そういった事を踏まえればかなり無難なリマスター版になっています。
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