【レビュー】Elin
-自由度が頭2つ抜けて高いカオスさもあるファンタジーRPG-

レビュー
ゲーム名Elin(エリン)
ジャンル早期アクセス、キャラクターカスタマイズ、JRPG
プレイ人数1人
プレイ時間目安千差万別なので測定不可
あえて目安を付けるなら全ての要素を触れるのに60~80時間程度?
販売形態Steam
価格2980円
参考URLSteam
https://store.steampowered.com/app/2135150/Elin/?l=japanese
一口メモ自由度の高いフリーゲームElonaの続編

 今回ご紹介するのは、2007年頃に公開(2011年更新終了)されたフリーソフトゲームElonaの続編であるElinとなっています。ElinはElonaの30年前の時代という設定になっており、Elonaを遊んだ事があるプレイヤーならば、まだ未発展のヴェルニース(Elonaだとプレイヤーが拠点とする街の1つ)など、色々とニヤリと出来る要素が散りばめられているゲームになっています。

 また、Elona未プレイの人であっても、十分に楽しめる内容となっており、特に本作の一番の売りは、何よりもその自由度の高さです。一応最終目標としては、RPGらしくダンジョン探索がその目標として挙げられますが、そこまでの過程において様々な選択肢が用意されており、ダンジョンを巡ってアイテム集めに没頭しても良し、演奏や料理を通じてお金を稼ぎ、稼いだお金をお店に投資して自キャラを強くスタイルでも良し、はたまた窃盗による悪人プレイをしても良し、自キャラ1人で戦うスタイルでも、仲間やペットとパーティを組んで戦うスタイルでも良し、など本当に様々なプレイスタイルが用意されています。

  更に本作から大きく強化された要素として、クラフト要素とそれに伴う拠点運営が挙げられます。クラフトを通じて拠点設備を充実させる事で自キャラを強化出来る他、拠点運営を通じて定期的な収入を稼げるようにしたり、住人(家畜)を厳選して、頼れる仲間を作り出したりといった事が出来ます。

 なお、本作はその自由度の高さから、逆に序盤が躓きやすい作品となっているので、後半には簡単な案内も付けて見ました。全くの初心者が購入して遊ばれる場合に参考にしてみてください。

↑初中級者向けのQ&A方式の記事も作成しました。

①自由度の高いプレイ内容や世界観

 はじめにの内容と被ってしまいますが、兎にも角にも自由度の高さが一番オススメ出来る点です。極論本作はアイテムを集めるorお金を稼いでいればキャラクターを強化出来るようなゲームシステムになっているので、今やってる事が遅かれ早かれ自分に返ってくるタイプのゲームになっています。そのため、自分の好みとなるプレイスタイルを見つけられれば、そこから一気にゲームにどっぷりハマるタイプのゲームになっています。

 たとえば、筆者の場合、自キャラを強化する事よりも、多種多様な仲間を集めて鍛える方が好みだったため、演奏依頼でお金を貯めつつ、貯めたお金を調教師(動物を購入できる)や奴隷商人(人間を購入できる)に使って仲間を集めたり、料理や装備を買い込んで仲間に与えて強化したりというプレイ方針で遊んでいます。

 また、自由なのはプレイスタイルだけではなく、その世界観そのものもかなり自由なものになっています。基本はファンタジーな世界観になっていながら、テレビやら銃(アサルトライフル)やら現代的な要素が混じっていたり、田舎の調教師が犬や馬を扱っているかと思ったら、時たまマンモスだのケルベロスだのを扱っていたり、多種多様な妹がおり、中には年上の妹がいたり…etc、とにかく自由な世界観が結果的に自由なプレイスタイルを支えている形になっています。

↑神の使徒(黄金騎士)に巨人にマンモスに殺人ウサギ(ヴォーパルバニー)と
 最早方向性が行方不明なパーティもElinなら組める

↑前作からお馴染みの妹シリーズ※も拡充
 生き別れた血の繋がっていない年上の妹という謎の存在まで降誕した

※血が繋がっていないにも関わらず何故か主人公の妹を名乗るキャラクター群のこと。前作からマスコットキャラクター的な立ち位置にいるが、危害を加えるものには無数の妹を召喚して対抗したり、自爆特攻をしかけて来たりなど、ある意味迷マスコットともなっている。

↑前作からの発展で言うと、ユニークNPCも雇用出来るようになった事が挙げられる。
 好感度を上げたうえで、自キャラの魅力値が足りていれば、雇用出来る。

②没入感が上がったストーリー

 早期アクセスという事もあり、まだ途中でお話は終わってしまいますが、elonaに比べてelinはストーリーへの没入感が上がった作品になっています。elonaの頃は、自分の預かり知らぬ所でストーリーが進行し、自キャラがほぼ蚊帳の外のような状態だったのですが、elinaでは自キャラもメインストーリーに組み込まれる形になっているので、ストーリー展開が気になるような作りになっています。

 また、ストーリーへの没入感が上昇している理由の1つとして、ストーリーに登場したキャラクターの一部は、仲間として勧誘出来る点が挙げられるでしょう。仲間になったキャラクターは、パーティキャラとして連れまわす事も出来るため、愛着を持ちやすいです。

 更に、今後どこまで追加されるかは未知数ですが、サブクエストもそこそこあり、こちらでもストーリーに登場したキャラクターが仲間として加入したりするので、ストーリーがオマケ寄りだったelonaに比べると、かなり積極的に遊びたいタイプのクエストになっています。

↑仲間に勧誘出来る関係か、陰湿な嫌がらせをしてきた前作キャラに比べると、
 今作のキャラは清く正しく主人公を導いてくれる正統派キャラクターとなっている。

③かなり整えられたバランス調整

 本作はelonaの頃にあったような無限ループ系全般は対策される形になっています。無限ループ系の行為が出来ないという事は、無限ループを活かした育成要素を活用出来ないという事でありますが、その代わりに全体的なゲームバランスが調整されているように感じました。基本的にどんな事でもコツコツやっていれば戦えるようなバランスになっており、しいて言うなら遠距離系の武器が使いづらくなった程度なので、前情報なしに好き勝手遊んでいても、育成さえしっかり出来ていれば、攻略上詰まるという事は起こりにくいです。

④初見でも目標が立てやすくなった

 elonaの頃はゴミ箱に入れる所(ゲームを一度消す所)までがチュートリアルと言われたりしました。これはまた遊びたくなるなるという好意的な理由がある一方で、自由であるがゆえに、プレイ目標が立てにくく、序盤のハードルも高い事が理由となっていました。

 それでは本作はどうかと言うと、一般的なRPG作品に比べると、まだハードルが少し高い所はありますが、それでも当社比かなり目標の立てやすい作品になっています。チュートリアル要素がかなり丁寧になっていたり、拠点運営要素が強化された結果、拠点で○○を設置するために、〇〇を集めようといった形で、自分から探さなくとも課題が見えて来るような作りになっています。そのため、本当に最初の導入さえ乗り越えられれば、かなりのめり込みやすい作品なのではないかと思います。

 また、ゲーム外要素ではありますが、有志wikiしかなかった当時に比べ、公式wikiの存在もあり、どうすれば良いのかわからなくなった時も、調べやすくなっているというのも、本作が遊びやすくなっているポイントです。

↑例として序盤のクラフトのフローチャート
 拠点運営を行うだけでも、目標を立てやすくなった。

↑クエストに関しても大分分かり易くなり、取っ付きやすくなっている。

⑤ワークショップ対応

 本サイトは基本的にmodの存在自体はゲームの評価に含めないようにしているのですが、本シリーズの場合、elonaの頃からヴァリアントと言って、elonaを基本としつつも改造を加えた作品が存在したり、キャラグラフィックの改造・追加が盛んだったりなど、所謂mod文化に近い所があり、本作でもその文化が維持されているという事で評価ポイントに挙げました。公式でも手厚くサポートされている他、ゲームの改造そのものには興味がなくとも、自キャラの立ち絵などを変更するタイプのmodも導入しやすくなっており、elin内に好みの見た目がなかったとしても、一度ワークショップを覗いてみるだけでも面白いのではないでしょうか。

①まだ導入のハードルが少し高い

 チュートリアル要素などがかなり充実するようになった本作ですが、まだ導入のハードルは少し高く感じました。初心者向けの案内で後述しますが、チュートリアルは基本的にスタート地点周辺で完結させるようにしているのですが、実際は少しだけ遠出して、都会で依頼任務をこなすのが序盤の一番分かり易い進め方なので、馬鹿正直にチュートリアルに従っていると、懐回りや食料事情で逆に厳しくなるというハードルの高さがあります。

②早期アクセス

 現時点でも十分に色々遊べるゲームにはなっていますが、早期アクセスである点には要注意です。先述したようにメインストーリーが終わっていないのはありますが、それとは別に固定ダンジョンの多くにも現状は入れません。入れない固定ダンジョンが多いという事は、所謂戦える固定ボスがそこまで多くないという事です。固定ボスの攻略と、固定ボスだけが落とすアーティファクトの存在も本シリーズの魅力の1つではあるので、ここらへんを期待しているプレイヤーには物足りないかもしれません。

↑早期アクセスの中ではアップデートにかなり精力的であり、毎日何かしらのアプデが入っている。

1:とりあえず困ったらまず公式wikiを見よう

 まず大前提として、困ったら公式wikiであるYlvaperdiaを見るようにしましょう。基本的な情報はこの公式wikiに殆ど載っており、例えば拠点運営はどうすれば良いかとか、○○というアイテムはどこで手に入るかといった疑問は大体公式wikiを見れば解決出来ます。

2:序盤の目標はなに?

  本当に序盤の目標としては
  ①食糧事情の解決
  ②毎月の税金を払える程度の収入を確保する の2つです。

 ①に関しては、とりあえず旅糧を確保する事をオススメします。安く複数確保出来、腹持ちも良いため、とりあえずストックしておくと餓死する可能性は殆どなくなります。旅糧は宿屋の主人から購入する事が出来るため、街に入ったらガードに道を尋ねて宿屋を探すようにしましょう。ただし、食事は育成においても活躍する要素なため、お金に余裕が出て来たら、調理済みのものを買い貯めて、旅糧は料理がなくなった時の非常食にするのをオススメします。(旅糧は後述するファストトラベルにも使えるので、食料としての用途を卒業した後も使い所は多い。)

 ②に関しては、道端に落ちているものを拾い集めて売るか、街に赴いて依頼をこなすかの2択になります。依頼に関しては、Ⅰ:敵撃破系(難易度5以下)Ⅱ:野菜収穫系 Ⅲ:演奏任務(セレブパーティー・代替芸人募集)の3つ辺りが狙い目でしょう。個人的に特にオススメなのはⅢの演奏任務です。演奏任務は難易度の上昇に合わせて収入が大きく伸びるタイプの任務なので、繰り返しこなす事で演奏スキルを上げつつ収入を大きく伸ばせるタイプの任務となっており、中盤以降も安定した収入源として活躍してくれます。(演奏スキルが低いうちは、お客から石を投げられて死ぬリスクがありますが、ゲームをスタートしてから90日はデスペナルティがないため、この点でも早めに演奏任務をこなしておくメリットはあります。なお演奏には楽器が必要になるため、マップに固定配置されている楽器を利用するか、安物で良いので家具屋で楽器を購入するようにしましょう。)

 また依頼は、金銭収入とは別にプラチナ硬貨というアイテムが貰えるようになっており、これがスキルを新規習得・成長率の強化にかかせないタイプのアイテムになっているので、キャラの育成をしたい場合には、遅かれ早かれ依頼を繰り返しこなす必要が出てきます。

↑宿屋の位置が分からない時は、ガードなどを探して道案内を頼むと良い。
 道案内を頼んでも目的の施設が表示されない場合、その場所には該当施設がない事になる。

↑演奏会は、合法的に犯罪行為を出来る事から、客を捕獲したり、
 はく製や装備目的でユニークNPCと戦うのに利用したりも出来る。

発展:パルミアを目指そう

  チュートリアルでは、拠点の南東にあるミシリアに行く事になりますが、序盤の展開を考えるなら、北東にあるパルミアを目指した方が色々と便利になっています。パルミアは王都となっているため、各種施設が充実してるのは勿論そうなのですが、パルミアの周辺都市・建築物にも便利なものが多く、パルミア・パルミア大使館・ヨウィン・神々の休戦地の4つでelonaでやりたい事の7割はまかなえるようになっています。

 またパルミアは、ミシリア以上に多種多様な任務が出やすくなっており、特に前述した演奏任務がよく出るタイプの街の1つなので、パルミアの演奏任務で金策をし、パルミアやその周辺施設で貯めたお金を使い、定期的に自拠点へと帰宅して整備するのが一番ゲーム展開としては分かり易いのではないかと思います。

↑最初は、北東にあるパルミアを目指すのがオススメ
 なお画像だと見切れているが、パルミアから北上すると神々の休戦地もある

3:細々とした機能を使いこなそう

 初見だと気づきにくいのですが、elinには細々とした機能がいくつかあります。筆者が引っ掛かった事例としては、クラフト時に、必要素材に並んでいる画像をクリックすると、他の素材を選べるというものです。製材機を作ろうとしたものの、素材であるシルト石がいつまでも集まらず、どうしようかと思ったら、シルト石をクリックしてはじめてグラナイト石など他の素材に交換出来る事に気が付きました。

 なお、素材が色々選べるようになっている理由として、素材毎に重さや硬度が決まっている事が関係します。軽い素材で作成すれば当然出来上がったものの重さも軽くなるため、所持重量に余裕が持てるようになり、一方で硬度の数値が高いものを素材に選ぶと、より硬いものを壊しやすいようになります。(本来採掘スキルが40要求されるものが半分の20で壊せるようになったりなど)

 後はよく使うものとして、ミドルクリック(ホイールクリック)も挙げられます。マウス中央にあるスクロールキーを押し込む事で使えるミドルクリックは、例えば同じマス目上に複数のものが重なっている場合に、個別で指定できるほか、仲間の持ち物を変えたい場合にも、仲間NPCをミドルクリックして交換を選ぶ事で、装備を入れ替えたり、食べ物を持たせる事が出来るようになります。

 さらにミドルクリックは、ワールドマップでクリックすると、ファストトラベルを行う事も可能です。旅糧を消費しますが、時短になるので、よく使うシステムの1つになっています。

↑素材が足りない時は、手持ちで代用できる素材がないか確認したい

↑ワールドマップで中クリックすると、ファストトラベルが出来る

4:仲間をそろえよう

 Elinは序盤から戦闘に苦戦するという事は珍しくありません。こういった場合にオススメなのが、仲間を揃える事です。仲間は自キャラの魅力値や、フィート(特性)の人気者によって、引き連れる数が決まるようになっており、とりあえずフルパーティを組むかどうかでも全然違います。

 また調教師や奴隷商人から、2万~3万円かかる高額キャラクターを購入するのも中盤辺りまでは有効です。高額キャラクターは所謂レア枠にあたりますが、高額な分、ステータスが優秀な事が多く、後は適当に装備を持たせてあげるだけでも即戦力として採用する事が出来ます。

↑商人が扱うレア枠のキャラクターは、高額なだけあってその分即戦力として採用出来る。
中にはフェンリルなど味方も巻き込む攻撃を持っているキャラがいるのだけは注意。

 以上がElinの紹介記事になります。

完全に無料だったElonaから有料化された本作でありますが、それに見合った発展作品となっており、高い自由度と遊びやすさが両立した作品になっています。また、現状は毎日何かしらの調整が入る程度には更新頻度が高く、今後の追加要素がかなり期待できるという点でもオススメの作品になっています。

 自由度が高い作品というのは数多く存在しますが、このレベルで自由な作品というのは本当に珍しいので、ぜひ一度触ってみて欲しいゲーム作品の1つです。早期アクセスの現状でも100時間は遊べるゲームとなっています。

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